
最近よく耳にするようになってきた「介護離職」。
「就業構造基本調査」によると、「介護・看護」を理由に前職を離職した人は
2007年10月から2012年9月までの5年間で約49万人となっています。
年間約10万人が介護を理由に退職していることになります。
少子高齢化に突入した私達の日本の社会問題です。
起こるべくして起こっていることなのかもしれませんが、なんともやるせないものです。
介護の担い手の多くは、40代~60代。
50代をピークに、60代の方もけっこういます。
50代と言えば、働き盛り。
会社などでも重要なポストを担う年代です。
ですが...
やむを得ず離職せざるを得ない場合も多いようです。
夫婦で親世代の介護を担う場合は、どちらか収入の多い方が仕事を続け、
収入の低い方が介護を担当するというケースが多いようです。
となると、妻の方が介護離職するケースが多いようです。
介護離職は、収入がダウンするという経済的な損失のみならず、
「こんなはずじゃなかったのに...」という精神的ダメージも大きいようです。
ご存知ですか?
育児・介護休業法により、
①「介護休業制度」
②「介護休暇制度」
③「介護のための勤務時間の短縮等の措置」等が定められています。
①【介護休業制度】
労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族1人につ
き、要介護状態にいたるごとに1回、通算して93日まで介護休
業を取得することができる。
②【介護休暇制度】
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う
労働者は、事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象
家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度とし
て、介護休暇を取得することができる。
③【介護のための勤務時間の短縮等の措置】
事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、
就業しつつ対象家族の介護を行うことを容易にする措置として、対象
家族1人につき、介護休業をした日数と合わせて少なくとも93日間利
用可能な勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない。
これらは大いに活用されるべきなのですが、
利用したことがある人の割合は全体のたった15.7パーセントだとか。
実際には制度を使えず辞めていく人も多いようです。
また期間についても疑問が残ります。93日というと約3ヵ月。
無いよりはあった方がいいけど、果たして3ヵ月で介護が終了するものなのか...
こんなこと言ったらなんですが、
国や会社が助けてくれることって、この程度のことなんです。
「介護転職」なる言葉もクローズアップされています。
それだけ、介護転職者が増えているということなのでしょう。
「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社」が40代・50代の正社員及び正社員から
介護を機会に離職した約3000人を対象に行った
「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査(2012年)」では、
介護離職後に離職前と同様に正社員として再就職ができているのは半数にも満たない
結果となっており、4人に1人が仕事をしていない無職の状態にあることが分かっています。
また休業中には神経も磨り減るのでしょう。
再就職への意欲も下がってしまうようです。
再就職できた場合でも、収入の減少は避けられないようです。
2014年の「株式会社明治安田生命生活福祉研究所」の調査によると、
介護転職をしたあとの年収の変化においては、
介護開始前 転職直後
男性が556.6万円 → 341.9万円にダウン、
女性で350.2万円 → 175.2万円にダウン
男性は約40パーセント、女性は約50パーセントも収入ダウンです。
介護転職できたとしても、収入ダウンはほぼ確実と言えそうです。
今日この記事では、暗いことしか書いていないですね...(>_<)
でもここに書いたことは、どこか遠くの国で起きていることではなく、
今日明日わが身に起こっても不思議ではありません。
私の母親も数年介護していました。
ずいぶん意地悪をされた義理の母親の。
介護=お金の問題、では決してないと思うけど、
お金で解決できることも沢山あったんじゃないかなぁ、と思います。
特にうちの母親のようなケースでは。
だからやっぱり私は自分で稼げる力をつけておこうと思う。